意外と知られていない?通勤手当の仕訳
私が経理を手伝っている会社でちょうど通勤手当に関して話していて気になったことがあったのでご紹介します。
給与計算ソフトだと自動で計算を行ってくれることが多いですが、担当される方は知っておいた方が設定などでも応用が利くと思いますのでぜひご覧ください。
「通勤手当」とは、会社までの通勤にかかわる費用という定義でお話します。
まず通勤手当は一定まで非課税(2020年6月現在は月15万円)という認識がありますが、一体なにが非課税なのでしょうか。
結論から言いますと所得税が非課税となります。消費税や社会保険はまた別な計算がされます。
所得税の計算は一般的に「源泉徴収税額表」を元に月額の金額と扶養の数で照らし合わせ算出します。上記の算出に使用する月額の金額に通勤手当は含まれない、これがよく聞く非課税通勤費の意味です。
社会保険の場合では非課税通勤費も含んだ金額で「標準報酬月額表」で月額等級を算出します。
では消費税の場合はどうなのでしょうか。
この処理が意外と間違っている企業が多いという話をよく聞きます。規模が大きくなればなるほど影響が大きくなるのでぜひ一度ご確認をして頂けたらと思います。
通勤手当の消費税について、国税庁ではこのように定められています。
つまり、通勤手当の仕訳を分けるか分けないかの差で年間で納める消費税が変わってきます。
事例)
給料300,000円、通勤手当20,000円の場合(分かりやすくするために税抜処理で仕訳を起こします)
よくある間違い
借方 | 貸方 | ||
給料 | 320,000 | 現金 | 320,000 |
正しくは
借方 | 貸方 | ||
給料 | 300,000 | 現金 | 320,000 |
給料(通勤手当) | 18,000 | ||
仮受消費税 | 2,000 |
事例のようにまとめて給料の科目で行っていた仕訳を1本分けるだけで、販管費が2,000円減って借受消費税が2,000円増えるという違いが発生します。
1人の1ヶ月でこの違いですので年間にするとなかなか大きい金額になりますよね。
社労士事務所に給与を委託している場合などはミスのない給与計算はしてくれるかと思いますが、給与はお任せで仕訳は自社でするというケースも多いと思います。
また会計ソフト給与ソフトのメーカーに丸ごとお願いしているケースもあるかと思いますが、担当者レベルでは実務のプロではなくこの仕組みを知らない可能性もあります。
ソフトメーカーが設定したもので、実際に上記のよくある間違いの仕訳になっている例も過去見かけたことがあります。
今は給与計算ソフトから会計ソフトに連動して自動仕訳がつくられるケースの方が多いかもしれませんが、一般的な設定が会社に適しているかは状況によります。
ぜひ一度見直してみることをお勧めします。